『完本 1976年のアントニオ猪木』その2
『完本 1976年のアントニオ猪木』つづき
アントニオ猪木は天才プロレスラーであると同時に、沢山の人にいっぱいいっぱい迷惑をかけた人です。
この本は、猪木にかかわった人々を取材することによって書かれた作品である以上、猪木を快く思ってない人からの言葉も多く含まれていることでしょう。作者はその中から真実を浮かび上がらせる作業をしているわけで、したがってノンフィクションだからといってすべてが真実というわけではないかもしれません。しかし、これは単なる暴露本ではなくて、『明らかに違うものであるプロレスと格闘技』が、なぜ日本では境目が曖昧になったまま今日に至ったのかということも『1976年のアントニオ猪木』が戦ったリアルファイトの3試合をとおして解き明かしています。
プロレスが大好きで、ある意味エキサイティングな試合をするために来日したアリにリアルファイトを強要しちゃうし、韓国ではプロモーターの意向を無視して駄々をこね、あげくにパク・ソンナンの目に指を入れちゃうし、パキスタンに遠征したら、こんどは逆にアクラム・ペールワンに突然リアルファイトをしかけられてアクラムの腕折っちゃうし…
アリの選手生命を縮め、韓国やパキスタンのプロレスを崩壊させた1976年の猪木。その試合は後に伝説となって、日本のプロレスは世紀末に向かって世界的にも特異な盛り上がりを見せたのです。私も見事にその真っ只中で日々興奮しておりましたw。
そして、1989年。
この本にあるとおり、会社のお金を湯水のように事業につきこんでた猪木が参議院に出馬。
猪木がいると会社がつぶれる、プロレスがダメになる。そう考えた新日本プロレスのレスラーも社員も心の底から猪木を応援。かく言う私もこの選挙の時だけは、国のことよりプロレスの将来を考えてスポーツ平和党に投票したのです。そんなこともあったなぁと、なんだか、この本読んでて懐かしくなりました。
プロレスとともに青春をおくった皆さん。この本なかなか良いですよ。お勧めです。
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