2008年8月18日 (月)

松本清張

随分と長い間読まず嫌いだった松本清張を最近読んでます。

読まず嫌いだった最大の原因は中学生の時に映画館で観た『砂の器』。推理小説原作なのに、最初から犯人はこの人!って感じでなんだこりゃ…と思ってしまいました。高校生の時に観た『鬼畜』も作品の良さが全然理解できませんでした。おかげで、読みもしていないのに「松本清張って僕には合わない」って決めつけてたのです。

この年になって松本清張読んでみたら面白いです。映画もDVD借りて見直したら凄く良い作品でした。『砂の器』も『鬼畜』もどちらも当時の私には早すぎたのでしょう。

小説も映画もいろいろと人生経験つんでから読んだり観たりすると、随分と印象違うものですね。

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2008年6月17日 (火)

さまよう刃

この小説は、高校生の娘を持つ親にとって、非情にハードな展開です。

東野圭吾『さまよう刃』。

妻に先立たれ、高校生の娘とふたりで暮らす主人公長峰。愛する娘は友達と花火に行った帰り道、未成年の不良アツヤとカイジによって拉致され、覚醒剤を打たれ、強姦され、非業の死をとげます。その描写の腹立たしいこと…読んでいて非情に不快で気分が悪くなりました。瞬間、読むのを止めようかと思ったぐらいです。さらに、犯人達は未成年であるがゆえに、捕まったとしても大した刑も受けないと言う法律の理不尽さが重くのしかかります。そして、物語は密告者から犯人の情報を得た主人公の復讐劇へと転じますが、後の展開はさすがに東野圭吾、どんどん引き込まれてあっという間に読み終えました。

恨みや憎しみのないまったく関係ない人を殺すということ。これはもう人間のすることではないです。被害者の家族の心境を考えると、殺した人数や、犯人の年齢、精神状態、更生の可能性などまったく関係のない話だと思います。正義とは何か。無差別な凶悪犯罪が増える今、本当に考えさせられる話でした。

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2008年6月 1日 (日)

あの頃ぼくらはアホでした

東野圭吾のエッセイ集『あの頃ぼくらはアホでした』。作者の高校、大学時代のエピソードを書いたものですが、僅かに年下の僕にとってもほぼ同じ時代であっただけに、非情に共感できたり、思い出して恥ずかしかったりと楽しく読めました。特に大学時代、工学部の実験や試験のエピソード、サークルのエピソードといったら…まさに『あの頃僕らアホでした』です(^-^;。

男ばかりのサークルに勧誘された私の場合も、最初の新入生歓迎会での衝撃はまさにこの作品のエピソードと同じ。先輩達の芸は、春歌、猥歌のオンパレードで、さらに合唱団だけあってそれをハモりながらやったりするし、作者と違って比較的おとなしい高校生だった私にとってもうそれはまったくこの世のものとは思えない異次元の空間でした(@_@)。夏の大阪大学や京都大学との合同演奏会の打ち上げは双方の威信をかけた芸の戦いで火花を散らし、さらに立命館大学の演奏会の打ち上げに参加したときは、酔った勢いで歌いながら加茂川を歩いて渡ったりともう無茶苦茶でしたね。そしてその後、濡れたままズボンでタクシー乗ったことは内緒です(汗)。まあ、いろいろあった学生生活でしたが、随分といろんな面で鍛えていただきました(^-^)。

今はお酒もきっちり20歳になってからとなりましたが、成人を何歳からにするのとは別の話として、高校卒業して社会人になったり、進学したら、アルコールだけはきちんと法律でOKにしたらどうかなと個人的に思うのです。もちろん、急性アルコール中毒をおこすような飲み方は絶対ダメですけど、20歳というのは、人生の区切りとして非情に中途半端ですもん。学生生活の半分をアルコール無しで過ごさせるなんて、日本人がますますひ弱になっちゃうような気がしてなりません。

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2008年3月19日 (水)

夜明けの街で

東野圭吾の『夜明けの街で』。

主人公『渡部』は妻と娘がいる普通のサラリーマン。家庭になんの問題もなく、不倫をして家庭や人生を棒に振るなんて奴は馬鹿だと考えていた彼ですが、そんな彼が派遣社員の女性『秋葉』と出会い、不倫が始まってしまったのでした。そして、その女性はなんと時効直前の殺人事件の容疑者だったのです。

この小説、登場人物も少ないし、謎もそれほど複雑ではないので、単純に推理小説として読むと少々物足りないかもしれません。ただ、同じように家庭をもつ30~40代の男性や恋愛経験のそこそこある女性の方等々にとっては、身につまされるというか、かなり感情移入しちゃう小説ではないでしょうか。40代妻子持ちの私個人の感想としては『非情に面白い!!』です。

不倫を否定していたはずなのに、出会いから不倫が始まるまでの気持ちの動きは、同じような状況なら自分はどうする?と考えちゃいますし、友人に協力してもらいながらの奥さんに対するアリバイづくり等々は涙ぐましくもあります。後半、主人公がついに家庭を捨てる覚悟をしたあたりからは、「いやぁ、それはまずいでしょう」ってハラハラしながら読んでしまいました。そして、最後の『秋葉』の言葉と気持ちはかなり切ないです。さらに家で主人公の帰りを待つ奥さんの気持ちも…です。

結局二回読みました。同世代の男性の皆さんにはお勧めです(^-^)。

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2008年3月 2日 (日)

結局、不倫

今週末は首都圏に出張なので…いろいろ悩んだ末、結局『不倫』にしました。

いやいや、新幹線の中とか移動時間に読む本を探していたのですが、文庫本で『これっ!!』と思うような本が見つからなくて、思いきって東野圭吾の単行本から選ぶことにしたのですが…。

東野圭吾の作品、思った以上に文庫になっていないものがあって、『医療もの』、『裁判もの』、『加賀刑事もの』等々、本屋の棚の前で、どれにするか悩みに悩んだのですよ。文庫と違って1600~1700円という価格も決断を迷わせる一因でしたね~。で、結局選んだのが『不倫もの』(^-^;。そう、『夜明けの街で』です。

で…一週間かけてゆっくり読む予定だったのですが、読み出したらやめられなくて一日で読んでしまいました。出張用に買ったのにダメじゃん(汗)。もったいないからもう一度読み直すことにします。感想はその後で書きましょう。

でも、出張用にはもう一冊いりそうですな。今度はぎりぎりに買います。

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2008年2月24日 (日)

超・殺人事件

東野圭吾の『超・殺人事件 推理作家の苦悩』を読みました。この本、結構お気に入りです。

この作品は本格的な推理小説ではなくて、『名探偵の掟』『名探偵の呪縛』と同様に風刺的な皮肉いっぱいの短編小説集です。

税金対策で、様々な領収書を必要経費に認めてもらうために小説のストーリーが無茶苦茶になってしまう『超税金対策殺人事件』や、犯人もトリックも考えずに物語を進めてしまって、最終回に作者が苦悩する『魔風館殺人事件』なんか笑ってしまいます。『超犯人当て小説殺人事件』に使われている叙述トリックは、作者も他の作品で何度か使っていますが、「叙述トリックは大好きだけど、この叙述トリックだけは納得いかない」私としても、この作品ならOKですw。

でも、お気に入りの理由は『超理系殺人事件』や『超読書機械殺人事件』なんかの風刺が、どこかしら懐かしい感じがしたこと…「ああ、これは星新一の推理小説版だ」と後で気づきました。いままで自分が書いてきた本格推理小説を自虐的に皮肉った、『名探偵の掟』『名探偵の呪縛』より、読後感は格段に良いと思いました。三作品の中ではこの本が一番好きです。

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2008年2月 3日 (日)

死亡推定時刻

朔 立木(さく たつき)著『死亡推定時刻』。
冤罪を扱った、それはそれは怖いお話です。

政治家に取り込み、地元の警察幹部も巧みに買収し、あこぎな事もしながら一代で財産を築き上げた土建業の渡辺恒蔵。その娘が誘拐され、身代金一億円を要求されたところから物語りは始まる。犯人逮捕を第一に考える警察の判断で身代金が犯人に渡らず、その結果、娘は死体で発見された。娘が殺されたのは、身代金受け渡し失敗の前か後か。渡辺恒蔵の怒りを恐れ、警察幹部の自己保身により、死亡推定時刻が捏造された…

しかし、小説の本筋は題名の『死亡推定時刻』の問題ではなく、死体から少し離れたところに落ちていた鞄の中から4千円盗んだだけの気の弱いチンピラの小林昭二が、いかにして警察とやる気のない弁護士によって殺人犯にされていくかいう所です。取調べをする刑事も、女の子を殺した憎むべき容疑者を正義感によって締め上げるといった部分はあるにせよ、上司からの圧力、時間の制約の中で、殺人犯でない容疑者を追い詰め、不十分な証拠だけでどんどん自白調書を作成していく…疑問をもっても、組織が優先される構造。フィクションとはいえ、実際に逮捕されると日本の警察だとこうなってしまうのだろうなぁと、恐ろしいほどの説得力で書かれています。
後半には心ある弁護士が登場しますが、今度はタカ派の検事と裁判官が立ちはだかります。さてさて、冤罪ははれるのでしょうか、また真犯人は?

現役の弁護士が書いただけあって、リアルな小説です。読後感にもやもやは残りますが、読む価値はある本です。


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2008年1月31日 (木)

読書

東野圭吾の文庫本はほぼ読み終えてしまい、しばらく読書から遠ざかっておりましたが…

ついに一冊買って読み始めました。朔 立木(さく たつき)の『死亡推定時刻』。
冤罪を扱った推理小説ですが、なかなかリアル。警察に捕まっちゃうと、現実でも多かれ少なかれこんな目にあうんだろうなぁと思ってしまうほどで、それはそれは怖い展開です。
まだ半分ほどしか読めていませんが、ぐいぐい引き込まれるストーリーです。というわけで、ネットの時間も睡眠時間もちと短めの昨日今日です(^-^)。

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2007年8月30日 (木)

恋愛論

『恋愛論』…私には似合わないタイトルですが(^-^;。

まだ秋には少し早いですが、少し暑さも和らいできたので久しぶりに読書をしました。趣味の本箱から選んだのは坂口安吾の作品集『堕落論』(角川文庫 )の中から『恋愛論』です。坂口安吾は太宰治なんかと同時代の作家。代表作は『白痴』『桜の森の満開の下』等々。本格推理小説の『不連続殺人事件』なんかも書いてます。

『恋愛論』、これ、なかなか良いのですよ。今から60年前の作品ですが、男女の本質、人間の本質が見事に書いてあって、最初に読んだときにはえらく感動したものです。目からうろこが落ちたというか、「そう、そうなんだよな」って感じで、時代が変わっても男と女の関係は全然変わってないんだなぁと実感できました。

『教訓には二つあって、先人がそのために失敗したから後人はそれをしてはならぬ、という意味のものと、先人はそのために失敗し後人も失敗するにきまっているが、さればといって、だからするなといえない性質ののものと二つである。恋愛は後者に属するもので、所詮幻であり、永遠の恋など嘘の骨頂であるとわかっていても、それをするなといい得ない性質のものである。それをしなければ人生そのものがなくなるようなものなのだから。』云々…

恋愛論といいながら、人間論というか人生論というか、人が生きていく意味を平易な文章で、結構具体的に論じてあって、実は30代後半から何度も読み返していて、この作品は私の考え方の教科書的な存在のひとつなのです。

『孤独は、人のふるさとだ。恋愛は、人生の花であります。いかに退屈であろうとも、このほかに花はない。』

この作品、あまり若いときには読まないほうがいいですが、30歳すぎて、それなりに恋愛経験をされた方達にはかなりお勧めです。意外と坂口安吾いいですよ(^-^)。『悪妻論.』もなかなか面白いです。

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2007年4月30日 (月)

幻夜

『白夜行』と『幻夜』。ふたつの物語の時間的なずれなどまったく気にせず第一章を読んだ私は、『彼女』が帰ってきた!と鳥肌が立ち、物語にひきこまれて、長編なのにあっという間に読んでしまいました。ホントに東野圭吾の筆力には頭が下がります。

『白夜行』がふたりの主人公-亮司と雪穂の内面をまったく描写せず、表面上起こっている事件のみで推理させていくのに対し、今回の『幻夜』は阪神淡路大震災を境に運命の変わった雅也と美冬の側から心の動きや犯罪にかかわる様子が描かれています。そういう意味で『白夜行』と『幻夜』は表と裏の関係にあるのかもしれません。しかし、『白夜行』の亮司と雪穂のふたりには底がしれない影の部分があり、お互いが相手を補い合うパートナーであったのに対し、残念ながら『幻夜』の雅也と美冬の関係は対等ではなく、弱い立場の雅也に人物的な深みというか謎の部分がなくて物足らなさを感じてしまったところはあります。まぁその分、美冬のキャラが強烈に際立ってはいますが、作品の印象的には『白夜行』には少し及ばずといったところでしょうか。

なにはともあれ、『彼女』の今後が気になります。やはり3作目は出て欲しいです。ぜひぜひ読みたいです。

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2007年4月28日 (土)

しのぶセンセ

竹内しのぶ先生。25歳、独身。丸顔の、黙っていればかなりの美人。しかしそこは大阪のおねーちゃん、口は達者で、手も早い。教え子の悪ガキたちと、身近でおこる事件を解決していく東野圭吾のしのぶセンセ短編シリーズ『浪花少年探偵団』と『しのぶセンセにサヨナラ 浪花少年探偵団・独立編』です。センセと生徒、周りの人たちとの吉本新喜劇みたいな掛け合いは絶妙に面白く、大阪出身の作者が楽しみながら書いている様子が良くわかります。しのぶセンセに恋してて捜査情報をすぐしゃべってしまう新藤刑事と、しのぶセンセが食べ物につられてお見合いしたエリートサラリーマン本間さんとの三角関係もこっけいで笑えるし、しのぶセンセのお母さんもとてもいいキャラで最高です。事件自体はそんなに複雑な謎解きはないのですが、ほのぼのとして、人情話っぽくて、とってもいいのですよ。とはいえ、殺人事件なのですけどね(汗)。読みながら、テレビの連続ドラマにしたらいいのになぁと思いました。どのお話も面白くてはずれは無いですが、僕は中でも『しのぶセンセの引越し』と『しのぶセンセの復活』が好きです。

しかし、一口に推理小説とはいえ、まったく東野圭吾のレパートリーの広さは驚くばかりで、本格物、サスペンス、SF、人間ドラマ、コメディタッチ、風刺と、とても同じ作家とは思えないぐらいの作風の違う作品群は、続けて読んでもまったく飽きがきません。しかもいつも止められなくて一気に読んでしまいます。一昨日の出張の行きの新幹線で『しのぶセンセ』読み終えて、出張の夜に本屋によったら『白夜行』の続編の『幻夜』が置いてありました。これまた800ページ弱の長編で、買ってしまったらまた睡眠時間が~と瞬間躊躇しましたが、それも瞬間でした。『白夜行』の続編なら読まないわけにはいかないでしょう。昨日帰りの新幹線で第一章読みましたが、また『あの世界』が始まった…って感じです。新たなパートナーをみつけた『彼女』。う~ん、恐ろしいです。

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2007年4月13日 (金)

天空の蜂

今日は大阪出張でした。

昔、ネットゲーマーの頃は出張の移動中の新幹線は足らない睡眠時間を補う貴重な時間でしたが、比較的健全な生活をしている今は、絶好の読書タイムです。というわけで、今日は東野圭吾の『天空の蜂』読み終わりました。文庫本で600ページ以上ある長編ですから、もちろん今日一日で読んじゃったわけではないですが、帰りの新幹線はわざと『こだま』に乗って、さらに、岡山駅についてからも駅のホームのベンチに座って、結局最後まで読みました。面白くて、なかなか途中でやめられなかったのです。

小説は長編ですが、小説の中に書かれている物語は朝の5時から昼の3時ごろまでの10時間あまりの出来事で、多くの登場人物をきっちり描きながら、非常に密度の濃いサスペンスに仕上がっています。防衛庁に納入前の最新鋭の大型ヘリコプターが『天空の蜂』を名乗る犯人に遠隔操作で乗っ取られ、犯人はヘリコプターを高速増殖炉の上空でホバリングさせて「全国の原発を破壊しないとヘリコプターを高速増殖炉に墜落させる」と政府に要求を突きつけたのでした。タイムリミットは燃料がなくなるまでの数時間。しかも無人のはずのヘリコプターには、ヘリコプターの技術者の子供がこっそり乗ってしまっていた。さてさて…。手に汗握る空中での子供の救出シーン、犯人と警察、防衛庁との息詰まる駆け引き。犯人の動機はなかなか明かされないけれど、まったくの悪という描かれ方はしておらず、読んでて高倉健の名作『新幹線大爆破』を思い出しました。これは良質のサスペンスです。そして、子供に関するエピソードがこの物語の実はポイントで、小学生の子を持つ親としては、またまた簡単に感情移入してしまい涙目になってしまったのでした。この作品、お金はいっぱいかかりそうだけど、映画化するにはもってこいの作品だと思うのですがいかがでしょうか(^-^)。

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2007年3月31日 (土)

パラレルワールド・ラブストーリー

東野圭吾の『パラレルワールド・ラブストーリー』読みました。人間の記憶がテーマのひとつです。

人間の記憶と言うものは実に頼りないもので、特に僕のは危なっかしいです。仕事で泣きたいぐらい辛かった事、プライベートで真っ青になるぐらい冷や汗かいた事、いろいろあっても、喉もと過ぎちゃうと、なんか詳細の部分が見事にあやふやになってきて、話のネタとして何度も話してると、あやふやな部分が脚色されながら、矛盾の無い話に再構築されて、それが真実として記憶に残っていたりするようです。小学生の頃、生死をさまよう出来事がありましたが、その部分の記憶はありません。心を守るために、心が壊れそうになる出来事は上手に処理されているのでしょう。また、レベルの違う話として、遠い昔に行った映画とかコンサートとか、一緒に行った相手の記憶が完全にすりかわっていて、思い出話してたら、「私、それ行ってない。いったい誰と言ったの?」って言われてあわてたことは一度じゃないです(^-^;。

さて、物語ですが…世界的なコンピューターメーカーに勤める主人公の敦賀崇史は、仮想現実を実際に人間に現実として錯覚させることを研究をしている研究者。彼は、その会社が英才教育を目的として運営している専門学校の生徒の津野麻由子と同棲中であるが、最近妙な違和感を感じている。なぜなら昨夜、麻由子が彼の親友三輪智彦の彼女だったという、記憶とまったく違う夢をみたのだ。現在の敦賀崇史の話と、彼が親友の彼女に横恋慕しているという記憶と待ったく違う話がパラレルワールドのように交互に語られるこの作品、読者は違和感の謎の向こうにある真実にたどり着くまでの間、とにかく物語に引き込まれていくのでした。東野圭吾の筆力、構成力はまさに脱帽です。今回も一気に読んでしまいました。

毎週火曜日の同じ時刻、並行して走る山手線と京浜東北線の同じ車両の同じドアのことろにいたふたり。物語の最初で語られる、並行して走っていても決して交わらないこの列車の「まるでパラレルワールド」のような象徴的エピソードと、この本の題名は、作者がこのミステリー兼ラブストーリーに仕掛けた最初の罠です。この作品は一流のミステリーであると同時に、胸が切なくなる恋と友情のお話でもあります。

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2007年3月14日 (水)

ブルータスの心臓

妊娠した愛人を殺害するべく、お腹の子の父親の可能性がある男3人が共謀して計画した完全犯罪。3人で分担し、死体を大阪から東京まで車でリレーしながら運び、それぞれが自分が運んでない時間はアリバイをしっかり作っておくという、一見完璧な計画だったのに、運んだ死体がすり替わっていて、事件は一気に複雑な様相に…。

東野圭吾の推理小説『ブルータスの心臓』。出張中の新幹線の中で、一気に読んじゃいました。

『ブルータス』とは主人公の造った人工知能を持つ産業ロボットの名前。技術者である主人公『末長拓也』は母親を幼い時に亡くし、父親は酒びたりという恵まれない幼少時代をすごす。人間は信頼せず、機械を愛し、屈折した執拗な出世欲で勤めているMM重工の専務の娘婿になるべく画策。この推理小説の登場人物は、邪魔になった愛人の『雨宮康子』にしても、完全犯罪計画の立案者でMM重工の跡取りである『仁科直樹』にしても、『末長拓也』同様にそれぞれの育った暗い過去に縛られて行動し、不幸になってしまうのでした。序章で登場する産業用ロボット『ナオミ』の事故により死んでしまう青年は、この事件にどのようにかかわってくるのか?、犯人の動機は?、信じるものに裏切られる結末等々、この作品は東野圭吾の代表作ではないかもしれないけれど、安心して楽しめる作品です。

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2007年2月18日 (日)

私が彼を殺した

容疑者は3人。でも、犯人の名は最後まで明かされず、読者の推理に委ねられる究極の犯人当て推理小説が東野圭吾の『私が彼を殺した』です。刑事は東野圭吾の数少ないシリーズキャラ加賀恭一郎ですが、物語の性質上、今回は脇役です。小説家兼脚本家の穂高は詩人の神林美和子と明後日に結婚予定。明後日には近親相姦の関係にあった愛する妹の美和子を穂高に奪われてしまう兄「神林貴弘」。自分が好意をもった女性(浪岡準子)を、穂高が妊娠、堕胎させた上に捨てて自殺させたことを恨む「駿河直之」。穂高と付き合い結婚を夢見ていたが、穂高が自分が紹介した詩人神林美和子と結婚することになって捨てられた女性編集者「雪笹香織」。この3人が小説の主役ですね。少なくとも3人ともが自分が穂高を殺したと思ってるわけなので、そのなかから本当の犯人を捜すのはなかなか難易度高いです。

神林貴弘の章-駿河直之の章-雪笹香織の章と、容疑者3人の視点で書かれている章が繰り返されることで物語は進行しているこの小説は、アンフェアな虚偽の記述が無いかわりに、一人称であるがために肝心な部分は書かれてないという『叙述トリック』満載で、アガサクリスティの有名な小説を3倍複雑にした感じです。文庫本の最後の袋とじのヒントを開けずに3度読み直しても犯人の特定に至らなかった情けない私は、「普通の推理小説なら犯人は美和子なんだけどなぁ」などど負け惜しみ言ったのでした(^-^;。

推理小説を何度も読み返すことなど滅多にないので、新鮮な体験でした。面白かったですよ。同様の犯人当ての『どちらかが彼女を殺した』より私はこちらの方が好きです。この小説はお勧めです(^-^)。

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2007年2月13日 (火)

白夜行

先週、出張の新幹線の中で『白夜行』読み終えました。文庫本、分厚かったぁ。荷物になって大変だったけど、新幹線の中、一睡もせずに読みふけりました。

直木賞受賞の『容疑者Xの献身』は推理小説として圧倒的に秀逸で、私が東野圭吾にのめりこむきっかけになった作品で、もちろん大好きです。でも、他の東野圭吾の直木賞候補作『白夜行』『片思い』『手紙』も遜色ないというか、これらの作品で受賞してもよかったのではないかと思うぐらいです。選考委員の評言読んでも、『容疑者Xの献身』が圧倒的に支持されて、他の作品が圧倒的に不支持であったのは理解しがたく、そのギャップからも不支持の際にはやはり選考委員に情けない大人の事情があったのかしらと、有名な噂を信じてしまう私でした(^-^;。見事受賞した際の「ゲームに勝ててよかった」と言う作者のコメントは「ざまぁみろ」って感じなのでしょうかw。

まあ、そんなことはともかく『白夜行』かなりのめり込んで読みました。主人公たちが生きた時代は私の生きた時代とそう差はなく、時代とともに出てくるコンピュータの進化等、時代背景にすごくリアリティがあり、入り込みやすかったのが理由でしょう。昔はこの作品のような暗く救いのない犯罪の話は苦手でしたが、主人公ふたりの内面は一切描写されず、しかし犯罪の暗示は示しつつ、淡々と進んでいく物語に作者の筆力の凄さを感じました。桐原亮司と西本雪穂。人生の昼でも夜でもない白夜を生きたふたりの20年間は、彼らが不幸にした人たちの悲しみともに読後ずしりと重く心にのしかかります。

テレビドラマは見てなかったけど、またTSUTAYAで借りて見ようかなと思いました。あと、映画の『手紙』も小説読んだからいいやと思ってましたが、役者さんの力も凄いとのことで、DVDでたら是非観なくてはと思うのでした。いつも世の中とは別のタイミングで作品に触れる私でした。

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2007年1月25日 (木)

静岡出張から帰りました

Photo_4 今日は一日静岡の掛川で仕事でした。今回は仕事だけで遊びはなしです…普通出張はそうなのですけどね(^-^;。写真はJR掛川駅の在来線側の駅舎です。昔ながらのたたずまいが良いですね。

帰りの新幹線の中で東野圭吾の『白夜行』読み始めました。TBSの山田孝之のドラマは見てなかったし、長編で、文庫本のあまりの太さにたじろいで、なかなか手がだせなかったのですが、ついに買ってしまいました。まだ1/4程しか読めてませんが、やはり面白いですね。SEGAの『龍が如く』も相変わらずやってるし、しばらくは睡眠不足の日々が続くことになりそうです。

で、今夜は『拝啓、父上様』の第3回。録画はセットしておいたのですが、掛川から思っていたより早く帰宅できたので10時から見ることができました。芸者姿の木村多江綺麗ですね~(^-^)。でも今回はなんといっても亡くなった政治家の愛人 八千草薫と、正妻 森光子が、『坂下』の杉の間で、相対するシーンにつきます。張り詰めた雰囲気で、静かに語り合うふたりには、見てるほうが緊張しました。あと、ドラマ見てて、二宮君に倉本聰が惚れ込んだ理由がよくわかりました。彼はいいですね。私の娘もファンです。

ところで、今回は高島礼子出てませんでしたね~。ちょっとびっくり。倉本聰だとなにやってもよいのですね。でも、来週はいっぱい出てるのでしょう。楽しみに待つことにします。

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2006年12月31日 (日)

片思い

今年もいよいよおしせまってきましたね。家族と年越しそばを食べて、女房と一番下の子は早々に寝ています。あとの二人の子は自分の部屋でそれぞれテレビ見てるようです。で、私は読みかけの東野圭吾の『片思い』を読みながら年を越そうかと思っていましたが…2007年になる前に、読みおえてしまいました。

推理小説は好きです。といっても偏ってて、学生時代はアガサ・クリスティと横溝正史ばかり読んでましたし、最近は東野圭吾ばかり。東野圭吾は直木賞とった『容疑者Xの献身』を読んでから、文庫本で過去の作品を手当たり次第に読んでいるところです。つい2年前までは坂口安吾(推理小説だけじゃないけど)ばかり読んでたので、あいかわらず偏って読むのは性格でしょう。

読み終えたばかりで印象が強いからでしょが、この作品は結構心にきました。かなり良かったです。性同一性障害というテーマを、決して興味本位で扱わないで、きっちり描いていると同時に、そのことが推理小説の大きな要素として存在しているという見事な構成。「男?女?」と作者の仕掛けに振り回されながら、最後は、30代半ばの主人公たちの学生時代の友情にほろりとさせられるストーリーには脱帽です。学生時代の友達はいいなぁと思ったもん。やっぱりいいよね。というわけで、感情移入した作品の評価はいつも高いのでした。最後にわかる題名の『片思い』の意味も切ないです。

さてさて、あと2006年が30分残っていますが、何をしながら年を越しましょうかね。ドリームキャストが現役のときは、毎年ネットゲームの中で新年を迎えていたのは懐かしい思い出です。セガの『龍が如く』でもやりながら新年迎えることにしようかな。

2007年も良い年になりますように。

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